2020/2/23

【歌詞】小説 夏と罰 (下)

小説 夏と罰 (下)

詞:傘村トータ
曲:傘村トータ


うだるような夏が身体を侵食していく
君を攫った季節が舞い戻ってくる
空は彩濃く 
置き去りにされた僕だけが
この世界で風に揺れてそこに在った

君の飲み残しのような人生を
背負って生き続ける僕の身にもなれ
君が諦めてしまった世界で
一文にもならない懺悔を続けている

僕が手を離したあの一瞬を君は
僕に一生後悔させる気なんだね
思い出など何の意味もなさない
君の呪いのような寝顔の前では

神も仏も救いはもたらさず
永遠に裁かれない僕は瞼すら閉じられぬ
何も感じない心であるのに
焼け付くような痛みだけ残るのは何故

僕に慰めの機会など与えず君は
ただ夏を罰として刻んでいった
祭りの甘い林檎のような頬に手は届かぬ
この先一度として

それが冬であったならば
凍った声に諦めもつくだろうか

僕が手を離したあの一瞬を君は
僕に一生後悔させる気だとしても
それが本望であると受け入れてしまえば
君は二度と僕の元へ帰ってこない
君が好きだと僕が喉裂けるほど泣いても