2019/11/20

『自分ではない誰かの手で幸せになるくらいなら、いっそ不幸であって欲しい。』

『不幸せになどなって欲しくない。
 いつも穏やかに、笑っていて欲しい。時々、怒ったり、拗ねたり、呆れたりして。
 そもそも、こんなことになる以前から、彼女の幸せを誰よりも強く願っていた。

 しかし――
 自分ではない誰かの手で幸せになるくらいなら、いっそ不幸であって欲しい。
 そんなことを思ってはならないというのに、
 じくじくと痛む胸の奥には醜い望みがあった。
 汚らしく、暗い願いを消すことが出来なかった。』

-- 王女様に婚約を破棄されましたが、おかげさまで幸せです。「25いっそ不幸であって欲しい<ハロルド>」