『不幸せになどなって欲しくない。
いつも穏やかに、笑っていて欲しい。時々、怒ったり、拗ねたり、呆れたりして。
そもそも、こんなことになる以前から、彼女の幸せを誰よりも強く願っていた。
しかし――
自分ではない誰かの手で幸せになるくらいなら、いっそ不幸であって欲しい。
そんなことを思ってはならないというのに、
じくじくと痛む胸の奥には醜い望みがあった。
汚らしく、暗い願いを消すことが出来なかった。』
-- 王女様に婚約を破棄されましたが、おかげさまで幸せです。「25いっそ不幸であって欲しい<ハロルド>」