『......---あの雪の日に
......『彼』がとても寂しそうに見えた。
私は、彼を傷つけようとしていた。
......この世界で最も強烈な憎悪を向けられることを望んだ。
そうすれば......---私は最期の時を迎えることが出来るだろうと。
楽になれるだろうと。
けれど......---私は彼に惹かれてしまったのだ、自分でも気付かないうちに。
もう動かないはずのこの心臓がどうして痛むのか。
その理由に気付いても、私はそれを認めたくなかった。
何故なら......---私は求めたことがなかったのだ。
あの時ほど、強く......---誰かを。
こんなにも苦しいものかと。
これほど辛いものなら、たった独りの夜の方がまだ楽だったのではないかと。
......そう思えるほどだった。
そして私は......---彼を手に入れたと思った。
安堵した、嬉しかった。
けれどそれは、手に入れる前よりも辛い夜の始まりだったのだ。』
--MESSIAH Paranoia∞Paradox 「雪の中で」